毎日のように買い物に来るおじいちゃんがいる。
買い物の量は少なめで、焼酎の小さいのを必ず5本買っていく。
品物が特徴的なのですぐ覚えた。
こんな毎日飲んで大丈夫なの?と思う。
無言でレジに並び会話したことはない。
買い物かごの一番下にはマイバッグ入れっぱなし。
打ち終わった後、商品の上に乗せる。
なにか質問しても答えることはなく、カードをちらりと見せて『これで会計ね』と目で会話できる。
常連のおじいさんなので自動精算機もスピーディ。
サッと帰っていく。
いつものようにおじいちゃんがレジに来た。
左手の人差し指に血が見えた。
皮膚が割れて血が出てるように見えた。
手が荒れてたのであかぎれかなと思った。
「血が出てますよ。大丈夫?」
無言。
この間レジを打ってる最中に親指に激痛が走った。
何が起こったのかわからなかったのでその時持っていたマミーの1ℓをしげしげ眺めた。
なにもなってない。
ビニール手袋の中で赤い色が広がっていく。
血??
何が起きたのかわからなくて怖かった。
確認するまでレジが途切れず、気になって仕方なかった。
見たらまあ、たいした傷じゃなかったんだけど。
その時を教訓に絆創膏を常備するようにしている。
ということで、おじいちゃんに絆創膏あげた。
「絆創膏でーす。」
かごにポイ。
血が乾いてるし必要なかったかもなー。
いらぬ親切だったかなー。
数日後。
おじいちゃん来店。
なんか話しかけてきた。
「ん?」
飛沫防止カーテンがあってうまく聞こえない。
顔を近づける。
「この間は絆創膏ありがとう」
おじいちゃんと交流できた。
よかったよかった。