死なないから生きていく

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病みの思い出と正社員の後輩の話 - 後編


前回からの続きです→病みの思い出と正社員の後輩の話 - 前編

 

 

メガネの彼が休んだまま来なくなってしまった。

 

ベテランの正社員の人とどうしてるんだろうねーと話し合った。

誰も彼のことはわからなかった。

ベテランの社員さんも来たばっかりだしすべてを任されたから大変そうだった。

こっちは任せておけ、気にしないで早く帰って来なって思っていた。

 

音沙汰なくしばらく経った。

 

 

彼が会社を辞めるという話を聞く。

 

確かに言葉数が少なくなり大人しかった。

病んでる人は心の中を出さない。飲み込んでしまう。平静を取り繕うのがとてもうまい。私も気を使われないように気を使っていた。元気がないということはもう気を遣う余裕がないということです。重いとこまで来ているということです。

私は病んでるのを自覚していたし彼も同じように病んでるなと思っていた。ナイーブな部分は話したことはないけど何となく心は通じ合ってると信じていた。

 

どうしたらよかったんだろう。

力になってあげられなかった。仕事量が多すぎて余裕がなかった。助けてあげられなかった。

 

過去に別部署で新入社員が上司にいじめられて辞めるのを目撃してことがあった。すごく仲良い訳はではなかったけど時折話しかけていた。その子も表情がなくなり言葉を発さなくなっていった。急に来なくなった。親が辞めると電話をしてきた。今思うとうつ病だと思う。新入社員は上司に逆らえないもんな。

 

私はこの部署で働き始める前から不安な気持ちがずっと消えなかった。

こちらに部署に来てから啓発本を何冊か読んだ。むかつく相手に意見を正しく伝える本、うまく批判する本、ポジティブを作る本、たまにはビジネス本だったり。うつ病体験記とか。

読んだときはうまくいく気がして心が軽くなった。でもその時だけだった。

本の通りにできない。啓発本はますます私を苦しめた。

不安なことを考えるのが消えない。こんなことを考えることしかできない私は最低な人間だ。死にたいとは思ってないけど消えてなくなりたいとずっと考えていた。

とにかく何も考えない頭が欲しい。考えたくない。

人のアドバイスは耳に入らない。しんどい。しなくちゃいけないことはわかっている。できないから苦しんでいる。正当な意見が苦しかった。当たり前のことができない自分が嫌いだった。

時折涙が止まらなくなった。仕事中だろうが止まらなくなった。会社で泣くなって叱られた。でも何回も泣いた。

この仕事が続かないようなら死ぬしかないと思っていた。自分が嫌いなので苦しさから逃れるためには自分をなくすしかない。

 

彼も同じような気持ちだったらどうしよう。

仕事を辞めるという決断は大きな決断です。

すべてがダメだという気持ちかもしれない。

 

数日たって菓子折りを持って最後の挨拶に来た。

 

私が休みの時なので会えなかった。

みんなのいる売り場には来なかった。寄れなかったんだと思う。

様子を聞いたら菓子折りを持つ手が震えていたと。

 

もう会えない。

 

無性に心が動揺した。

考えすぎかもしれない。でも彼は死んでしまうかもしれないと思った。

 

こんな私でも読んで心に刺さった本が1冊あった。

まずタイトルが良かった。泣いたね。「大丈夫、あなたの心は必ず復活する」

不安やイライラは心のエネルギー不足のせい、不安を消そうとしないほうが楽になれるなど。頑張りすぎて限界をむかえている人が読むのにぴったりの本です。

こうしなさいとかああしなさいとか押し付けてくる啓発本とは違い、心のエネルギーが回復するのを待ちなさい、的な本。

 

これを読んでもらおう!

 

私は病みのプロなのでこれは彼に合うと思った。

私が読んだ当時は、意味もなく頭は重いし目が疲れるし体調が悪かった。文字として認識してるのに読めないのです。文章が頭に入っていかない。エネルギーが枯渇してる時には何をしてもだめです。

わからなくなっては読み返し何とか読んだ。読んで良かったと思った。今まで心を無駄に浪費してしまっていたと思った。

時間がかかっても読んで欲しい。

 

私は電子書籍で読んでいた。これがおすすめだよって電子書籍を勧めるのは無理がある。

紙書籍をネットで注文しようとした。もう販売されていない本だった。

検索をかける。普段使ってないサイトで中古が見つかった。人に贈る本が中古?

悩んだ。けど会員登録してすぐ買った。

 

どうやって渡そうか。

 

事務所に言って住所を教えて欲しいと頼んだ。個人情報だから渋った。

贈りたい本があるんだけど送ってもいいか聞いて欲しいと頼んだ。本人に電話かけてもらって確認してもらった。

そういうことならいいよと言ってくれたとのこと。住所を教えてくれた。

 

手紙を添えた。

押しつけがましいのはよくない、ダメージが広がる。人から意見を言われるのはしんどい。

少ない文章にしようと思ってたけど結局便箋2枚くらいになった。書ききれないほど熱い思いを綴ったと思う。

手紙に書いた内容はちゃんと覚えてないけど、私も病んでこんな気持ちだったよとか、職場の人間関係が大変だったねとか、文章を見るのも辛いと思うけど読めるようになってそれでもよかったら読んでくださいとか、本の内容はこんな感じで私には合ったよとか書いたかなー。重荷にならないように悩みながら書いたと思う。

 

ドキドキしながらポストへ投函した。

届いてくれ!

 

押しつけがましかったかな。

 

人の人生に口をはさむ、余計なお世話だよね。

自分がよかったからって相手もいいとは限らない。

本は合うかな。元気になるかな。

急に送ってこられてどう思ったかな。

 

色々なことを考えた。

 

買い物に来るお客さんで似たような人がいると目で追った。

違った。意外といるんだよオーソドックスなインテリメガネ顔。

 

 

約半年経った。

 

 

忘れかけていたころ簡易書留が届いた。

簡易書留って何?

 

メガネの彼からだった。

 

わぁああ!!

返事が返ってきた!

 

めっちゃドキドキして開封した。

 

使ってない食券数枚と封筒の中に手紙が入っていた。

食券は使ってないものがあるから使って下さいって書いてあった。

 

かわいい封筒。イメージと違うな。

封筒の中に便箋4枚。文字がぎっしり詰まっていた。

 

「あれから元気になってきました、生きています」

から始まった。

 

詳細はここに全部書けないけど。

 

勇気と励ましの手紙と本をありがとう、すぐに手紙を出したかったけど遅くなった、三杉さんは手紙が来るとは思ってなかったと思いますということ。

過去にこんなことがあったので休職していた、自分はこんな性格だと思う、確かにここの職場は攻撃力が高かった。

本を読んだら心に大きな影響があった、不安は消えないのでゆっくり回復しようと思えた、心が止まる時があってもまた回復するんだと思えて気楽にしています。

働き始めたという近況。(私たちが資格を取ったときに自費でこっそり取っていてその資格で働いているらしい。)

最後に僕が思う三杉さんはこうです。って書いてあった。

「マメ」でそれを「続ける」のが得意で、気付いて「探す」人。

要約すると私は細かくて苛立っている感じ。(今、改めて読んで心にショックが…。)

その細かさでひっそりと気付いてくれて僕は助けられましたって。

 

全体的に強く表現されていたことは「勇気をありがとう!」ってこと。

 

送ってよかった。

本が合ったみたい。

 

よかった。よかったしかない。

 

私も頑張ろうと思った。

 

その後年賀状とか暑中見舞いとか来た。返事も出した。

 

 

 

でもその後私は本格的に病む。

 

約2年後私も辞めてしまう。

メガネの彼が辞めた後、異動してきた正社員の人も辞めた。昔からいた同僚も辞めた。

これはまた別の話になっちゃうので書かない。

 

手紙の話を書こうと思ってただけなのに思ったより長くなってしまった。

 

ここまで長い文章を読んでくださった方ありがとうございます。

自分勝手に私情を書きすぎました。お許しください。

時系列は間違ってるかもしれません。

 

忘れていて思い出さなかったことも思い出して書いた。

出来事は淡々と書いたつもりだけど、その時の感情がよみがえってきて思ってるよりダメージが来ました。眠りが浅いし目が覚める。

今まで書こうと思っても筆が進まない意味がわかりました。終わった過去をほじってもいいことないね。

 

彼は今も元気だろうか。

 

 

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