犬が亡くなり四十九日を過ぎたら骨を庭に埋めようと思っていた。
もう1ヶ月以上過ぎた。
今年ももう終わり。
重い腰を上げてようやく庭に骨を埋めようと思います。
お待たせ、お庭に行こうか。ずっと一緒だぞ。
庭っていう庭はないので、裏の敷地内にシャベルで穴を掘る。
いなりはミニチュアダックスよりちょっと大きめ。ちょっと深く穴を掘ります。
チャングムの甘酢を思い出します。
地面が硬い。ごろごろと大きめの石が出てくる。質が悪くて硬すぎる。
お骨の周りは柔らかい土にしたいな。母の園芸用の土を少し拝借する。
「私もやりたい~!」と母がさらに深く土を掘る。体重の重さでさらに深く掘れた。
しばらくぶりに骨を見た。頭が大きいな。なでなで。
そっと穴に骨を入れる。
じゃあね、またねー、ありがとうねー。
柔らかい土をかける。その上から掘った時に出た土を戻します。
ここでもチャングムのハン尚宮を思い出します。墓なので土をこんもりさせよう。手で整える。ぱんぱん。
掘ったときに出てきた瓦礫や石でなんとなく犬。
一仕事終えた。
一番散歩した公園へ散歩に行こう。
ずっと行こうと思っていたけど行ってなかった。
公園の散歩道への入口。
怖くて降りれないよー。ぷるぷる。
かわいかったなー。
工事中なのか、腐りかけてるのかずっと閉鎖してるここの橋。
夏は水が張って水草が綺麗になる所です。
もみじがいっぱい散っている。
拾ってみる。
何を見てもいなりを思い出す。
ちょっと。
全然散歩が楽しくない。
普段目に止めない小さな植物がいとおしかったり、大きな葉っぱに驚いたり。
全然気にならない。
私は自然が大好きなはずだったのに。本当は好きじゃなかったのかも。
いなりがいないと全然楽しくない。
いなりと一緒に散歩してるってことが楽しかったんだな。
もう一度いなりと一緒に散歩がしたいな。
ってことで持ってきたキーホルダーを眺める。
一緒に来てるよー、とか思っても楽しくない。
本物はいないのだから。
会いたいな。
会いたいな。
車の荷室で久しぶりにまったりしよう。
紅茶とクッキーと刺し子セットを持ってきた。
全然まったりしない。刺し子全然せず。
年末忙しくて心が弱ってる。楽しくない。
確かに寂しさは薄れてきている。
いなりが家にいた気がしない。生きていた気がしない。一緒に過ごした記憶が薄れてきた。
母もこの前同じこと言っていた。「いなりって本当に家にいたんだっけ?」って。
楽しさと幸せが薄れていってる、急速に。
寂しさももっと薄まってくれないか。
シーツにおしっこのシミ。洗ったけど取れない。
おしっこ漏らし放題でもいいから生きててほしかったな。
モフモフした毛をなでなでしたい。匂いを嗅ぎたい。触りたい。
あーあ、会いたいな。
会いたいなー。